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七福神の魅力と巡礼の意義
日本では、古くから福をもたらす七柱の神々『七福神』が人々の信仰を集めてきました。
それぞれの神々が持つ独特のご利益は、商売繁盛、長寿、財運、芸能、家庭円満など多岐にわたります。
今回は、七福神が祀られている全国の代表的な寺社を紹介しながら、巡礼の楽しさとご利益をお伝えします。
それぞれの七福神と代表的な寺社
恵比寿(商売繁盛の神)
恵比寿が祀られている神社では、毎年1月10日とその前後数日に『十日戎』が行われ、多くの参拝者が訪れます。
また、七福神めぐりの一つに数えられているところも多いです。
- 西宮神社(兵庫県西宮市)[地図]
「えびす信仰」の総本社として知られる。
毎年1月に行われる「十日えびす」では10日の早朝(午前6時ごろ)に『十日戎開門神事福男選び』という競争が行われ、参拝者が本殿までの230メートルを走り参りする。
この伝統行事は、単なる参拝だけでなく地域文化そのものを体験できる場となっている。 - 今宮戎神社(大阪府大阪市浪速区)[地図]
商人の町・大阪に位置する神社で、「えべっさん」として親しまれている。
特に十日戎(1月9日~1月11日)には、商売繁盛を願う人々が全国から訪れ、福笹が配られる賑やかな光景が見られる。
七福神めぐりでは、大阪七福神、なにわ七幸めぐり、南海沿線七福神の札所にもなっている。 - 京都ゑびす神社(恵美須神社)(京都府京都市東山区)[地図]
日本三大えびす神社のひとつで、福笹発祥の地。
京都の伝統的なえびす神社であり、商売繁盛や家庭円満を祈願する人々で賑わう。
七福神めぐりでは、都七福神、京の七福神の札所になっている。
大黒天(富と食物の神)
大黒天といえば頭巾をかぶり袋を担ぎ、手には打出の小槌を持って米俵に乗っている姿が有名ですが、日本においては大黒が大国に通じるため、大国主命(大国主大神)と同一視されていることも多いです。
また、大黒天と恵比寿とが二柱一組で信仰されることも多いです。
- 出雲大社(島根県出雲市)[地図]
縁結びで有名な出雲大社は、大黒天と同一視される大国主命(おおくにぬしのみこと)を祀っている。
縁結びだけでなく、富や五穀豊穣のご利益を願う参拝客も多く訪れる。 - 妙円寺(京都府京都市左京区)[地図]
別名を松ヶ崎大黒天とも言い、七福神めぐりでは、都七福神の札所となっている。
背後にある松ヶ崎東山では、五山送り火の際に松ヶ崎妙法のうち「法」の字が焚かれる。 - 大國魂神社(東京都府中市)[地図]
大國魂大神(=大国主命と同神とされる)を祀る、東京五社の一つ。
4月30日~5月6日に行われる例大祭の「くらやみ祭」は関東三大奇祭の一つ。
毘沙門天(戦勝と財運の神)
毘沙門天(別名、多聞天)は戦勝や財運をもたらす神様として知られており、持国天・広目天・増長天とともに四天王の一尊に数えられる武神です。
北方の守護者であり、五穀豊穣、商売繁盛、家内安全、長命長寿、立身出世などの現世利益を授けるとされています。
- 鞍馬山 鞍馬寺(京都府京都市左京区)[地図]
日本三大毘沙門天の一つで、毘沙門天王・千手観世音菩薩・護法魔王尊の三位一体の本尊『尊天』を本尊とする。
鞍馬天狗と呼ばれる大天狗で有名。 - 信貴山朝護孫子寺(奈良県生駒郡平群町)[地図]
毘沙門天信仰の総本山で、日本三大毘沙門天の一つであり、神仏習合の名残から境内に鳥居も並んでいる。
初詣や2月下旬の「寅まつり」には多くの参拝者でにぎわう。
七福神めぐりにおいては、大和七福八宝めぐりの札所となっている。 - 大岩山 多聞院 最勝寺(栃木県足利市)[地図]
京都の鞍馬山、奈良の信貴山と並ぶ日本三大毘沙門天の一つで、関東最古の毘沙門天を祀っている。
毎年大晦日に行われる「悪口(あくたい)まつり」が有名。
七福神めぐりにおいては、西の足利七福神めぐり(※)の札所となっている。(※自転車で巡るコース)
弁財天(芸能・財運の女神)
琵琶を抱えてバチで演奏する姿が多いが、中には8本の腕がありそれぞれに弓、矢、刀、矛、長杵、鉄輪、羂索(けんさく・投げ縄)を持つ姿もある。
また、日本各地の水神や宗像三女神の市杵島姫命と神仏習合して、泉や島、港湾の入り口などに弁天社や弁天堂として数多く祀られている。
- 江島神社(神奈川県藤沢市)[地図]
日本三大弁財天(もしくは日本五大弁財天)の一つに数えられ、辺津宮境内の奉安殿に八臂弁財天と妙音弁財天が安置されている。
主祭神は宗像三女神(多紀理比賣命、市寸島比賣命、田寸津比賣命)。
七福神めぐりにおいては、鎌倉江の島七福神の札所となっている。 - 竹生島 宝厳寺/都久夫須麻神社(滋賀県長浜市)[地図]
日本三大弁財天の一つであり、日本最古の弁財天・弁才天の発祥地とも称される。
宝厳寺と都久夫須麻神社は同じ島あるが、明治初期の神仏分離令によって分離したもので、それまでは神仏習合の信仰が行われていた。
宝厳寺は七福神めぐりにおいては、近江国びわ湖七福神の札所となっている。 - 天河大弁財天社(奈良県吉野郡天川村)[地図]
宗像三女神の一人、市杵島姫命を主祭神とし、一般的には日本五大弁財天の一つとされる。
芸能の神様として知られ、現在も芸能関係者の参拝が多い。
本殿に祀られている弁財天像は通常非公開で、毎年7月16日・17日の例大祭においてのみ開帳され、各種祝詞・般若心経や神楽とともに能楽やアーティストによる演奏も奉納される。
福禄寿(長寿・幸福の神)
道教における3種の願いである幸福(血のつながった実子に恵まれること)・封禄(財産のこと)・長寿(健康を伴う長寿)の三徳を具現化したもの。
南極星の化身(南極老人)とされたり、同じ七福神の寿老人と同体異名の神とされることもある。
容姿は背が低く長頭で長い髭を生やし、杖に経巻を結び、鶴を伴っている姿とされる。
- 今戸神社(東京都台東区)[地図]
源頼義・義家親子が奥州討伐の折に京都の石清水八幡宮を当地に勧進・祈願したのが始まりとされる。
招き猫発祥の地のひとつとして名乗りを上げているほか、伊弉諾尊・伊弉冉尊を祀っていることから、縁結びにゆかりがあるとされている。
七福神めぐりにおいては、浅草名所七福神、下町八福神の札所となっている。 - 赤山禅院(京都府京都市左京区)[地図]
延暦寺の別院の一つで、京都御所から見て表鬼門(北東)の方角に当たるため、古来方除けの神として信仰を集めた。
紅葉の名所でもあり、修学院歴史的風土特別保存地区の指定を受けている。
七福神めぐりにおいては、都七福神の札所となっている。 - 若宮八幡社(愛知県名古屋市中区)[地図]
名古屋総鎮守とされる由緒ある神社だが、名古屋人もあまり知らないといわれる穴場のパワースポット。
福禄寿を祀ったお社はないが、名古屋三大祭りの一つ「若宮祭」に登場する山車のひとつが『福禄寿車』で、唯一戦災による消失を免れた。
この福禄寿車をデザインした福禄寿みくじなど、福禄寿にまつわる事柄が多い。
寿老人(長寿の神)
中国の伝説上の人物がモデルで、南極老人星(りゅうこつ座α星・カノープス)の化身とされる。
福禄寿と同一神と考えられていることがあり、その場合は代わりに猩々が入る。
不死の霊薬を含んでいる瓢箪を運び、長寿と自然との調和のシンボルである牡鹿を従え、手には長寿のシンボルである不老長寿の桃を持っている。
- 革堂行願寺(京都府京都市中京区)[地図]
通称は革堂(こうどう)で、西国三十三所で唯一の尼寺。
1000年以上の歴史を持ち、通常は非公開の「幽霊絵馬」が有名。
七福神めぐりにおいては、都七福神の札所となっている。 - 宝生寺(兵庫県淡路市)[地図]
聖武天皇の勅命を受けた行基が、淡路島に建立を祈念し、自ら刻まれた地蔵菩薩を安置したのが始まり。
境内にある長寿橋を渡れば、10年長生きができるといわれている。
七福神めぐりにおいては、淡路島七福神の札所となっている。 - 妙隆寺(神奈川県鎌倉市)[地図]
鍋かむりで知られる日親上人ゆかりの寺で、欅一本造りの寿老人尊像が祀られている。
鎌倉時代の御家人、千葉常胤の子孫・千葉胤定の別邸「千葉屋敷」跡に建つ。
七福神めぐりにおいては、鎌倉江の島七福神の札所となっている。
布袋尊(福徳と円満の神)
中国に実在したとされる禅僧がモデルで、水墨画では大きな袋を背負った太鼓腹の僧侶の姿で描かれることが多い。
布袋和尚が死の間際に残したとされる言葉から、弥勒菩薩の化身ともされている。
太鼓腹で柔和な笑みを浮かべる姿から、広い度量や円満な人格、富貴繁栄を司るとされ、持ち物である布袋は「堪忍袋」ともみなされるようになった。
- 黄檗山 萬福寺(京都府宇治市)[地図]
黄檗宗(おうばくしゅう)の大本山で、建物や仏像の様式、儀式作法から精進料理に至るまで中国風の寺院。
「黄檗の三筆」の一人の隠元の来日によって、さまざまな中国文化が日本にもたらされた。
七福神めぐりにおいては、都七福神の札所となっている。 - 浄智寺(神奈川県鎌倉市)[地図]
鎌倉五山の第四位で、過去・現在・未来を象徴する阿弥陀如来・釈迦如来・弥勒如来の三世仏を本尊とする。
鎌倉周辺地域に見られるやぐらと呼ばれる洞窟には、石仏や石塔が安置されている。
七福神めぐりにおいては、鎌倉江の島七福神の札所になっている。 - 清荒神清澄寺(兵庫県宝塚市)[地図]
本尊は大日如来だが、境内の三宝荒神社の方が有名で、神仏習合の形態が色濃く残っていることから「清荒神清澄寺」と呼ばれている。
山内には画家・富岡鉄斎の作品を集めた鉄斎美術館「聖光殿」がある。
七福神めぐりにおいては、西国七福神の札所となっている。
七福神めぐりの楽しみ方
七福神めぐりは、七福神が祀られている寺社を訪れることで福を授かるだけでなく、日本の歴史や文化を学ぶ旅にもなります。
また、地域ごとに特色ある七福神めぐりが開催されているため、地元の食や景色も楽しむことができます。
神社やお寺は神聖な場所なので、露出の多い服装やカジュアルすぎる服装を避け、冬場は寒い中を歩くことが多いので、暖かい格好で行きましょう。
また、携帯電話(スマホ)の使用は控え、撮影が許可されていない場所では写真を撮らないようにしましょう。
七福神めぐりで御朱印をいただく際は、心を込めて参拝した後に参拝の証としていただきましょう。
繁忙期など、場合によっては御朱印が書置きになることがあります。
福を授かる旅に出かけよう!
それぞれの七福神が祀られている寺社を巡ることで、日々の暮らしに新たな幸運を呼び込んでみませんか?
ぜひ、今回紹介した寺社への参拝や七福神めぐりを通して、福をたっぷり授かる旅に出かけましょう!
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